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待宵草の薄暮日記

今は趣味三昧の気ままなひとり暮らし。 覚悟をもって毅然と、でも時には誰かのために熱くなる、そんな日々の徒然を綴っています。

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スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース

朝のラジオのパーソナリティーが「原作の漫画を知らなくても楽しめます。」と言うのを信じて、大阪道頓堀の松竹座へ。入口からいつもと違う雰囲気。グッズ販売やインスタ映えを狙ったコーナーに若い女子が群がってます。

2018 ワンピース1

幕が上がって、強烈なコスプレの役者たちが登場。肉体を駆使して舞台狭しと動き回ります。本水の滝、宙乗り、客席いっぱいに降る紙吹雪などアッと言わせる仕掛けは面白いけれど、何でしょうね~この違和感は。どこかのアトラクションみたいな。

2018 ワンピース2

2018 ワンピース3

ミュージカルになくてオペラにあるもの、スーパー歌舞伎になくて歌舞伎にあるもの、それは生の演奏と、マイクを通さない生の歌声。それだけが理由ではないけれど、私はオペラと歌舞伎が好みです。それにしても、激しい音楽に合わせた拍子木(柝)の方の複雑なリズムには感服いたしました。
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| 歌舞伎 | 18:40 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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四代目中村鴈治郎襲名披露 壽初春大歌舞伎

お正月明けは松竹座の壽初春歌舞伎から。

実は年末、初めて南座の吉例顔見世興行を観に行ったばかり。関西では師走の風物詩としてお馴染みのズラリと並んだ『まねき』を見上げ、ワクワクしながら中に入ると、張り替えられたばかりという檜舞台の真新しい香りが客席まで届いていました。東西役者の豪華な顔ぶれに、これまた豪華な舞台背景や仕掛けも。特別感があって値が張るのも頷けました。いささか分不相応な贅沢とは思いつつ、年末年始のことゆえここは奮発。

壽初春歌舞伎は、中村鴈治郎さんの襲名披露ですから観にいかないわけにはいきませんね。上方歌舞伎の継承者を素直に応援したいと思います。よっ、成駒屋!

壽初春大歌舞伎 2015

今回は昼の部、演目は『寿曽我対面』『廓文章 吉田屋』『河内山』。いずれも初春らしい晴れ晴れしく華やかな出し物です。何といっても見どころは、遊女・夕霧(坂田藤十郎)に入れあげて勘当された若旦那の伊左衛門(中村鴈治郎)が、夕霧が病と聞いて落ちぶれた姿で会いに来るという『吉田屋』での親子共演でしょう。

役者も名人の域ともなれば、たとえ多少容色が衰えていようと台詞が聴き取りにくかろうと、滲み出る情感でかもし出す風情は、補っても余りある芸の深さというものでしょうか、若手や中堅には到底真似することができない濃厚な味わい。さすが人間国宝、藤十郎さんには毎度心酔してしまいます。秀太郎さんも渋いですね~ それほど目の肥えた通でなくても、役者の一瞬の佇まいに魅せられ芝居に入り込んでしまうようです。

伊左衛門は初役ということですが、これは鴈治郎さんの当たり役になりますね、きっと。育ちが良くて優柔不断で、じゃらじゃらした感じが上手いです。

相変わらず仁左衛門さんには惚れ惚れ、うっとり。オペラグラスでずーっと表情を追ってみると、やっぱりこの方の目ぢからは違います。呆けた表情から一転、ギロリと凄みを利かせた不敵な眼差しへと自在です。

うーむ、二月大歌舞伎も面白そう。チケットは押さえていないけど、また松竹座に行きたくなってしまいました

| 歌舞伎 | 06:32 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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松竹座 七月大歌舞伎 2014

七夕の月曜日は、七月大歌舞伎 夜の部へ。いつものようになんばのデパ地下でお弁当を買い込み、地下街から地上に出ようとエレベーターを待っていたら、何と!昼の部の出番を終えた片岡秀太郎さんがおひとりで降りてこられました 

秀太郎さんといえば、今を時めく片岡愛之助さんの養父にして関西歌舞伎界の重鎮。小柄で軽やかな身のこなしと艶やかで品の良いお顔立ちで、さすが垢抜けていらっしゃいましたね。ちょっと得した気分

七月大歌舞伎

今回は演目と配役をみて夜の部に決めたのですが、直前に確認してみると上演時間が4時間55分(現在は50分)と、これまでの最長記録 大丈夫!?と不安がよぎりましたが、終わってみればあっという間。渋い芸が光るバラエティに富んだ演目で、最後まで飽きることなく楽しめました。

最初の出し物は『沼津』。昨年11月、国立文楽劇場で通し狂言『伊賀越道中双六』を観たばかりなので、筋書きもわかっているしどうかなと思っていたら、やっぱり人間国宝・坂田藤十郎さんが演じると情感たっぷりで役の厚みが違いますね。

次は『身替座禅』。片岡仁左衛門さんが艶っぽくて可愛い恐妻家の大名を、品よくユーモラスに演じて絶妙でした。明るい翡翠色の衣装がよくお似合いで素敵!7か月も休演されていたとは思えません。

『真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)』は怪談ですが、所々に笑いもありそれほど陰惨でないのが救いです。尾上菊之助さんって美形ですね~

そして、『女伊達』。片岡孝太郎さんらの華やかで威勢のいい舞踊で、フィナーレにふさわしい賑やかさ。最後はこうでなくっちゃね!

大満足で松竹座をあとに戎橋の方へ行くと、道頓堀川両岸のとんぼりリバーウォークはズラリと提灯が吊るされ昼間のような明るさ。8月末まで道頓堀川万灯祭が開催されているそうです。

| 歌舞伎 | 01:00 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

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坂東玉三郎 初春特別舞踊公演

幕が開くやいなや、誰もが驚嘆のあまり声を上げることもできず、ただ息を呑み目を見開いて固まってしまいました。それが一体何なのか、ただひたすら凝視するほかありません。優美な動きにしなやかな指先、時に憂うような時にかすかに微笑むような深い眼差し。光放つ美の化身でしょうか、とてもこの世のものとは思えません。ともすれば忘我の境を彷徨い、まるで幻を見ているがごとき心持ち。

ここは大阪ミナミの松竹座。戎橋の上では、十日戎(とうかえびす)の宝恵駕籠(ほえかご)が戻り、今宮戎神社の参詣を終えた芸妓さんら綺麗どころや揃いの法被の担ぎ手さんが集まって賑わっています。(カメラ持参するのを忘れた

新年早々大阪で玉さまを観られるなんて、今年は春から何と縁起が良いのでしょう しかも今回は、玉さまの後を追いかける若手の有望株、中村七之助さんとの競演が見どころとあって一層期待も高まります。さすがに客席にはお着物の方が多く華やいだ雰囲気。イヤホンガイドを借りて席に着きます。

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『村松風二人汐汲(むらのまつかぜににんしおくみ)』は、海女の姉妹が愛しい在原行平を偲んで舞う、玉さまと七之助さんの美しさが際立つ華やかさ。『操り三番叟(あやつりさんばそう)』は、翁と千歳の厳かな舞いの後、箱から運び出された三番叟の人形が糸で操られて動き出すという楽しい出し物。そして、踊り手を玉さまと七之助さんの2人にした豪華な趣向の『二人藤娘(ににんふじむすめ)』、最後に七之助さんが三役を早替り、玉さまが土手のお六を演じる『於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)心中翌の噂』と続きます。

幕間ごとにかなり舞い上がっていました。中盤の休憩が終わった頃、全照明が消されて場内は漆黒の暗闇に。待つこと数分、いえ数十秒? そして幕が開き始まった『二人藤娘』は、もう例えようもない美しさ! その舞台背景、着物や帯、髪飾りまで、藤尽くしでうっとり 多彩な踊りにも目が奪われます。
   
夢のような3時間でした。御堂筋には福笹を持った人もチラホラ。何だか今年も良い年になりそうな予感がしてきました。  

| 歌舞伎 | 08:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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京都・南座 アマテラス & 承天閣美術館 円山応挙展

今日は夜6時から始まるメインプログラムの前に、相国寺の承天閣美術館へ。現在相国寺ほか、山外塔頭である鹿苑寺(金閣寺)・慈照寺(銀閣寺)の所蔵品を展示した開館30周年記念の『円山応挙展』が開催されています。

承天閣美術館 円山応挙展

これまでも機会ある毎に、応挙や芦雪と聞けばしつこく観に行っているので、牡丹孔雀図ぐらいでは驚かなくなっていましたが、それでもやっぱり行かずにはいられません。応挙の孔雀は、ここ最近ミホミュージアムと香雪美術館で続けて出合っています。そのいずれとも違った印象で、牡丹が控え目に描かれ、2羽の孔雀に動きがあってより写実的。

今回の見どころは、応挙が滋賀県大津にある三井寺・円満院の祐常門主に依頼されて描いた長大な絵巻物『七難七福図巻』でしょうか。福寿・人災・天災の3巻からなり、合わせて全長36メートル余とか。1巻目は、人々の幸せな暮らしぶりが描かれていて微笑ましいのですが、次からガラリと様相が変わります。特に人災の巻は残虐で凄惨。天災の巻も圧倒的な筆技ゆえ迫力がありすぎ。

他にも、黒々した墨で描かれ勢いのある長沢芦雪の『獅子図屏風』、湿潤な空気感と深遠な静寂に引き込まれる呉春の『竹図屏風』などが印象に残りました。

この後は下鴨の甘味処、茶寮宝泉でティータイム。お庭を眺めながらいただく白小豆ぜんざいは絶品です。そして、最近足繁く通う百万遍かぎやで益壽糖をお土産用に、デパ地下で幕間のお弁当を買って、いよいよ最終目的地、南座へと向かいます。

京都南座 アマテラス 京都南座 アマテラス

玄関前は開場を待つ人で徐々に身動きが取れなくなってきました。本日も満員御礼。人間国宝・坂東玉三郎×鼓童の公演は、天照ではなく、アマテラス。この上なく古典的なテーマでありながら、どこか宇宙的でアバンギャルド。そして、この人ほどアマテラスにふさわしい人を、私は他に知りません。
アマテラス

何と言い表せばよいのでしょう。究極の美、あるいは、極限の美、いずれにせよ、まさに美の極致。舞台の中心から、白く眩い神秘の光を放ち、隅々まで照らし、包み込む圧倒的なパワー。これはきっと内なる力。比類なき精神の昇華。

アマテラスが天の岩屋戸に身を隠し暗黒になるまでの一幕目が、あっという間に終了。休憩を経て二幕目、ここからの鼓童がすごい! 多彩なフォーメーションで、鍛え上げた肉体から繰り出される、磨き上げた勇壮な太鼓の演奏に目が釘付け。太古に通ずる永遠の響きが、魂を揺さぶります。愛音羽麗さん扮するアメノウズメは軽やかで妖精的、妖艶とまではいきませんが、透明な色香に溢れていました。

カーテンコール4、5回、アンコール2回(?)だったでしょうか。最後に玉三郎さんが深く膝を曲げ腰を折ってお辞儀をされたとき、これまで皆さんでどれほどのお稽古を重ねてこられたのかという想いが込み上げてきて、目頭が熱くなりました。いえいえお礼を言いたいのは私の方です、そう心の中で何度も叫んでいました。

| 歌舞伎 | 21:21 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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十月花形歌舞伎 初日

すっかり有名になったオネエキャラの金融庁検査局主任検査官 黒崎駿一ではなく、今日は上方歌舞伎の貴公子 片岡愛之助を道頓堀の松竹座でたっぷりと 今回座席は3列目だけど花道と反対の右端 これが意外に良くて、役者の表情がよくわかり演技に引き込まれました。
十月花形歌舞伎

昼の部一幕目は、『新・油地獄 大坂純情伝』。案の定、時勢に乗った例の決め台詞「倍返し」が所々に出てきて笑いを誘います。対立する不良仲間の喧嘩場面は、さながら江戸のウエストサイド物語?! 後半、愛之助演じる河内屋与兵衛が、裕福な油商の女房を止むに止まれず殺してしまうというクライマックスでは、鬼気迫る極限の狂気を演じてなかなかの迫力! そして、追っ手に囲まれ自ら命を絶つという哀しい結末に涙

休憩を挟んで二幕目は、『楳茂都 三人連獅子』。打って変わって華やかな舞踊です。上手に並んだ唄方と三味線方がすぐ目の前。獅子の親子が鮮やかな衣装で舞います。中でも、一生懸命舞う中村壱太郎くんが健気で微笑ましいこと!

どちらも、あの黒崎駿一とは違う、端正な二枚目で艶っぽく時には凛々しい男っぷりのラブリン。全くの別人です。

今日は、歌舞伎がはじめてという観客も多かったのでは。中年未満の方もいつもより多く見受けました。半沢効果でしょうか。幕が開く前に後を振り向くと、カメラが3台。10月6日(日)夜11時からの番組’情熱大陸(TBS系列)’は、愛之助さんの密着ドキュメンタリー。これも楽しみですね、お見逃しなく。

| 歌舞伎 | 19:19 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

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七月大歌舞伎

7月末は久し振りに松竹座へ。今回は歌舞伎初体験という先輩と七月大歌舞伎 夜の部を観劇。まずはタカシマヤの地下で、なだ万のお弁当を奮発します。開場を待って中に入り、今回初めてイヤホンガイドを借りることに。華やいだエントランスやメインロビーを通って2階1列目の席に到着。周りを見渡すと、千穐楽1日前のせいか空席も見受けられ、どことなく活気に欠けるような雰囲気です。

演目は『曽我物語』『一條大蔵譚』『杜若艶色紫』。うーん、初心者にはちょっと地味だったかも。確かに片岡仁左衛門の大蔵卿は演じ分けが素晴しく、中村扇雀の八ッ橋や芸者衆が登場する場面の杜若づくしは風情があって綺麗でした。歌舞伎通なら面白いと思いますが、幕間以外にも場面転換の休憩が細切れに入るし、特に最後の演目はおどろおどろしい世話もので、裏切りや凄惨な人殺しなどが次々展開し内心ビックリ。

実は、いつもはパンフレットの簡単な解説と見どころに目を通すだけなので、多分8割ぐらいしか芝居の内容を理解できていません。イヤホンガイドを利用すると内容はよくわかりますが、どうも感動がもうひとつ。耳でストーリーを追いかけるより、わからないなりに五感を総動員して全身で感じる方が味わい深く、余韻が残るような気がしました。

十月花形歌舞伎(松竹座)とアマテラス(南座)は、大阪府民の特権 ’府民のための半額鑑賞会’に申し込み済み。どうか抽選に当たりますように

七月大歌舞伎

| 歌舞伎 | 21:02 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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松竹座 二月花形歌舞伎 「GOEMON」

久々に、思いっきり黄色い声を張り上げてきました  

大阪ミナミの松竹座、二月花形歌舞伎 「GOEMON」 は、スペイン人の神父と明智光秀の家臣・四天王寺但馬守の娘石田局との間に生まれた、希代の大泥棒で赤毛の石川五右衛門が大暴れするという奇想天外なファンタジー。五右衛門を演じるのは、上方歌舞伎の貴公子・片岡愛之助  なかなかの美形です  

本物のフラメンコもあれば、五右衛門が出雲の阿国とフラメンコを踊ったり、歌舞伎なのにOSKの元劇団員が出てきたり、何でもありのごった煮?! それに加えて、つづら抜けの宙乗りと亡き母・石田局の化身である大きな鳥に乗って飛翔する幕切れの宙乗りが見どころ。

今回座席は、花道真上の2階左手前方で、これが大正解でした  五右衛門が1階からはしごを駆け上がって近くまで来るし、追っ手から逃げる五右衛門らが2階通路を走り回り、宙乗りでは間近で端正なお顔をしかと眺められるという幸運に遭遇。

2階客席は拍手喝采大喜び、もう大興奮です。 ヨッ 待ってました、松嶋屋! 近くで見てもいい男だね~ 客席と一体となった熱気溢れる芝居に大満足。

途中、方や三味線と浄瑠璃、方やフラメンコギターにカンテ(歌)という掛け合いがありました。双方すごい気迫で対峙するのですが、不思議と違和感がないのです。民族に根差した底力のある音楽というものは、このように融合するのだと気づき納得しました。素晴しい!

帰りは、斜め向かいにある ’とれとれぴちぴち’ でお馴染みの、かに道楽でかにすきを。窓から見下ろすと、戎橋の上は夜遅くまで大勢の人でいっぱいでした。

| 歌舞伎 | 08:30 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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四国こんぴら歌舞伎ツアー 「坂東玉三郎特別公演」 顛末記 下

感動覚めやらぬボーッとした頭を振り払うように、金丸座を出て急ぎ足でホテルに戻り夕食。次々と運ばれる豪華なお料理をゆっくり味わう余裕はないけれど、美味しくいただき満足。さすが讃岐うどん県、締めはうどん+ご飯のWでした。

時刻は19時。そのまま8階のトークショー会場に直行すると、すでに2人の先客が。間もなく開場となり、予め指定されているブロックの最前列に陣取りました。前から6列目ぐらいだったでしょうか。幕が開くと、玉三郎さんと澤村藤十郎さんのお2人が、渋い着物姿で椅子に座っておられます。

まずは、玉三郎さんのご挨拶から。お化粧を落としてもなお艶やかで上品! お話はどうやら筋書きのない雑談風。藤十郎さんが座頭の労をねぎらうと、玉三郎さんから 「お客様を喜ばすには、お客様のところに下りて行かなければいけない。けれど下りて行き過ぎてもいけない」 と意味深長な言葉が。また、最近の能や歌舞伎が長くなっていることにも触れておられました。能は世阿弥が完成したのち武家により発展しましたが、将軍らが荘重なものにするため一層ゆっくり舞うようになったとか。歌舞伎にしても江戸言葉で演じると早かったけれど、今は 重い=高級 となり、どんどん長くなっていると。いろんなこと危惧されているのでしょうか。

その後、藤十郎さんが金丸座との出会いを面白可笑しく語られ、続けて玉三郎さんも芝居小屋・八千代座への想いを語られます。そして、こうした芝居小屋での公演は、みんなで作り上げるものであり、その土地の人に惚れ込み、意気に思えなければ続かないと、お2人が口を揃えておっしゃいます。藤十郎さんの軽妙なトークは、いつしか厳しかった玉三郎さんの養父の思い出話に・・・。あっという間に1時間が過ぎて、本日のイベントすべて終了。

ようやくお部屋でくつろぎ、時間を置いて大浴場へ。バラをいっぱい浮かべた露天風呂につかって極楽ごくらく。お部屋にあるマッサージ機で、明日に備え入念に身体をほぐしたのち就寝。

2日目、本日も快晴。朝食を済ませ荷物を預けたら杖を借りて、いざ金刀比羅宮へ。フットワークも軽く(でもちょっと息切らせて)大門をくぐり、どんどん石段を上ります。目指すは今回の目的の一つ、477段目にある表書院。ここでは5間にわたり円山応挙の障壁画が公開されています。

大門 表書院

いずれも金砂子をふんだんに使った格調高い墨画です。応挙といえば、ゴテゴテした装飾を排して対象を際立たせる圧倒的な写実力。まずは、様々な姿態の真鶴と丹頂鶴が描かれた 『鶴の間』 へ。きりっと引き締まった清廉な空気が漂います。お隣は 『虎之間』 。おぉー、たくさんの表情豊かな虎さんたちがいます。よく見れば豹さんもいます。ふかふかした毛描きで丸みを帯びて、みんな何て愛らしいんでしょう! まだ日本に虎が来ていない時代に描かれた猫顔の虎さんたちです。その先、 『七賢之間』 『山水之間』 『上段之間』 と続きます。邨田丹陵の 『富士一之間 』 は、雪を頂いた富士と稜線から延びる裾野まで淡墨で描かれており、広がりを感じる空間でなかなか素晴しい。これだけの画を一度に見られるというのに入館者は少ないですね。

表書院をあとに、再び石段を上ります。ちょっと汗ばみながら785段目、本宮到着。

旭社 本宮2本宮1

そして、さらにその上の奥社を目指します。石段が途切れて坂道になったかと思うと、最後に長い石段が。ようやく1368段目、奥社到着!! 

奥社からの眺め

ちょっと休憩して、今度は足元に注意しながらゆっくり石段を下ります。本宮で 『幸福の黄色いお守り+ミニこんぴら狗』 を買って、無事表参道を下りたところでお茶と甘味、さぬきうどんで昼食。ホテルの送迎車の若い運転手さんは、1日3食5日続けてもうどんは飽きないと言ってましたが・・・

このあと時間があったので、隣り駅の善通寺に寄ってから帰路に着きました。

何度もキャンセル待ちをお願いして希望以上の予約を取って下さったJTBの担当の方に感謝。琴平グランドホテルの皆さんも全力で歓迎している感があって好ましかったです。最高に楽しませていただきました。

| 歌舞伎 | 19:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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四国こんぴら歌舞伎ツアー 「坂東玉三郎特別公演」 顛末記 上

琴平から戻り、早4日が経ちました。こんぴら歌舞伎・金丸座の幕が開いて目にしたものは、まるで現代から近世にタイムトリップしたかのような、つかみどころのない夢うつつ。幕が引かれるまでの、一瞬のようで永遠のような時間を、私はどんな言葉で表せばよいでしょうか・・・

7日当日、快晴。JR新幹線と特急を乗り継ぎ、新大阪から岡山経由で琴平に到着。本日のお宿、琴平グランドホテル 桜の抄の送迎車でホテルへ直行、荷物を預けたのちタクシーで金刀比羅宮の石段500段目にある資生堂パーラー神椿へ。境内にあるとは思えない緑に囲まれた優雅な佇まいで、特にレストランは静かで落ち着きます。今回のツアーのプロローグに相応しく気分も上々。

ランチを済ませた後は、少し石段を下りたところにある高橋由一館へ。明治時代を代表する洋画家で、今年は近代洋画の開拓者と銘うち、東京と京都で展覧会が開催されていましたが、こちらにはあの有名な鮭の絵はありませんでした。展示数27点と小規模ながら、日本画のような油絵は、どこか寂寥感が漂う不思議な力のある作品ばかり。素晴しいコレクションですね。

琴平の街を見下ろしながら石段を下りると、時刻は2時少し前。そして、いよいよこんぴら歌舞伎・金丸座へ。チケットは到着時にホテルのフロントで受け取っています。

実は・・・ な、な、な~んと、1階ひらばの最前列!!!  えーーーっ 

坂道の両脇には、色とりどりののぼりがはためいています。今日はお得なJTB貸切DAY。早速オリジナルのお土産セットをもらって、半額でプログラムを購入し列に並びます。この雰囲気は、大阪城西の丸で開催された「大阪平成中村座」公演と同じ。皆さん一様に興奮気味です。

金丸座金丸座金丸座

小屋の木戸をくぐると、もうそこは別世界。竹を格子状に編んだ天井や明り窓、天井から吊るされた大きな顔見世提灯に絣の着物のお茶子さん。どれも初めてなのに懐かしい。ひらばの最前列は、4人が入る窮屈な桝席だけれど、和やかにお互い譲り合い、横並びに肩寄せあって前に足を投げ出して座れたので、結構楽な方だったかもしれません。

幕が開き始めました。誰もが息を呑む静寂の中、凛と響く地唄が聴こえたかと思うと、舞台中央には白い着物に黒の帯、蛇の目傘を持った芸妓姿の玉三郎さんが、白く透明な神々しい光に包まれ佇んでいます。下手に蝋燭が1本。この世のものとは思えない極限の美です。想いを奥に秘めたまなざしでしっとりと情感こめて舞う 『雪』 。凝視すればするほど、まるで魂がどこかに浮遊し自分が空洞になるような感じがします。

休憩をはさんで、次は 『鐘ヶ岬』 。釣鐘が置かれた舞台にはらはらと桜の花びらが落ちる中、清姫を演じる玉三郎さんの、見え隠れする情念を抑えた幻想的な舞踊です。途中引抜きで一瞬にして衣装が変わり、黒地に桜模様の着物から白地の着物に。後半、天井から降りそそぐ赤い光につつまれて舞う姿が、速水御舟の『炎舞』に重なり深く印象に残りました。

長めの休憩のあと、最後は玉三郎さんが芸術監督を務める鼓童との共作、『いぶき』 。地鳴りのように底の方から突き上げてくる太鼓の響き。一糸乱れず躍動感に溢れた演奏に度肝を抜かれていると、玉三郎さんの妖艶な舞いが始まりました。口元に薄っすらと笑みを浮かべて舞台を右に左に大きく動き、やがて鼓童と共に唄います。

ついに幕が引かれ、拍手、拍手、拍手。 アンコール、そして、放心・・・

目の前で演じていたのは確かに玉三郎さんのはず。でも私が見たものは、まるで踊りの精の化身が舞っているかのような崇高美と、芸に捧げ芸を極めようとするストイックで気高い精神性だったように思えます。

最前列というのは、残念ながら舞台全体を捉えることは難しいのですが、その代わり手が届きそうなぐらい近くに玉三郎さんを観ることができ、お顔の表情や繊細な手のしぐさ、指先や足先までしっかり見えました。こんな近くからでも完璧な美しさ! それに、わずかな動きにも空気の振動を感じることができるのです。ですから、衣装の匂いまで届くのです。これには感激しました。

パンフレット表紙

このあとホテルに戻って夕食を済ませ、次は 『坂東玉三郎×澤村藤十郎トークショー』 です。

| 歌舞伎 | 18:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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