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待宵草の薄暮日記

今は趣味三昧の気ままなひとり暮らし。 覚悟をもって毅然と、でも時には誰かのために熱くなる、そんな日々の徒然を綴っています。

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四国こんぴら歌舞伎ツアー 「坂東玉三郎特別公演」 顛末記 上

琴平から戻り、早4日が経ちました。こんぴら歌舞伎・金丸座の幕が開いて目にしたものは、まるで現代から近世にタイムトリップしたかのような、つかみどころのない夢うつつ。幕が引かれるまでの、一瞬のようで永遠のような時間を、私はどんな言葉で表せばよいでしょうか・・・

7日当日、快晴。JR新幹線と特急を乗り継ぎ、新大阪から岡山経由で琴平に到着。本日のお宿、琴平グランドホテル 桜の抄の送迎車でホテルへ直行、荷物を預けたのちタクシーで金刀比羅宮の石段500段目にある資生堂パーラー神椿へ。境内にあるとは思えない緑に囲まれた優雅な佇まいで、特にレストランは静かで落ち着きます。今回のツアーのプロローグに相応しく気分も上々。

ランチを済ませた後は、少し石段を下りたところにある高橋由一館へ。明治時代を代表する洋画家で、今年は近代洋画の開拓者と銘うち、東京と京都で展覧会が開催されていましたが、こちらにはあの有名な鮭の絵はありませんでした。展示数27点と小規模ながら、日本画のような油絵は、どこか寂寥感が漂う不思議な力のある作品ばかり。素晴しいコレクションですね。

琴平の街を見下ろしながら石段を下りると、時刻は2時少し前。そして、いよいよこんぴら歌舞伎・金丸座へ。チケットは到着時にホテルのフロントで受け取っています。

実は・・・ な、な、な~んと、1階ひらばの最前列!!!  えーーーっ 

坂道の両脇には、色とりどりののぼりがはためいています。今日はお得なJTB貸切DAY。早速オリジナルのお土産セットをもらって、半額でプログラムを購入し列に並びます。この雰囲気は、大阪城西の丸で開催された「大阪平成中村座」公演と同じ。皆さん一様に興奮気味です。

金丸座金丸座金丸座

小屋の木戸をくぐると、もうそこは別世界。竹を格子状に編んだ天井や明り窓、天井から吊るされた大きな顔見世提灯に絣の着物のお茶子さん。どれも初めてなのに懐かしい。ひらばの最前列は、4人が入る窮屈な桝席だけれど、和やかにお互い譲り合い、横並びに肩寄せあって前に足を投げ出して座れたので、結構楽な方だったかもしれません。

幕が開き始めました。誰もが息を呑む静寂の中、凛と響く地唄が聴こえたかと思うと、舞台中央には白い着物に黒の帯、蛇の目傘を持った芸妓姿の玉三郎さんが、白く透明な神々しい光に包まれ佇んでいます。下手に蝋燭が1本。この世のものとは思えない極限の美です。想いを奥に秘めたまなざしでしっとりと情感こめて舞う 『雪』 。凝視すればするほど、まるで魂がどこかに浮遊し自分が空洞になるような感じがします。

休憩をはさんで、次は 『鐘ヶ岬』 。釣鐘が置かれた舞台にはらはらと桜の花びらが落ちる中、清姫を演じる玉三郎さんの、見え隠れする情念を抑えた幻想的な舞踊です。途中引抜きで一瞬にして衣装が変わり、黒地に桜模様の着物から白地の着物に。後半、天井から降りそそぐ赤い光につつまれて舞う姿が、速水御舟の『炎舞』に重なり深く印象に残りました。

長めの休憩のあと、最後は玉三郎さんが芸術監督を務める鼓童との共作、『いぶき』 。地鳴りのように底の方から突き上げてくる太鼓の響き。一糸乱れず躍動感に溢れた演奏に度肝を抜かれていると、玉三郎さんの妖艶な舞いが始まりました。口元に薄っすらと笑みを浮かべて舞台を右に左に大きく動き、やがて鼓童と共に唄います。

ついに幕が引かれ、拍手、拍手、拍手。 アンコール、そして、放心・・・

目の前で演じていたのは確かに玉三郎さんのはず。でも私が見たものは、まるで踊りの精の化身が舞っているかのような崇高美と、芸に捧げ芸を極めようとするストイックで気高い精神性だったように思えます。

最前列というのは、残念ながら舞台全体を捉えることは難しいのですが、その代わり手が届きそうなぐらい近くに玉三郎さんを観ることができ、お顔の表情や繊細な手のしぐさ、指先や足先までしっかり見えました。こんな近くからでも完璧な美しさ! それに、わずかな動きにも空気の振動を感じることができるのです。ですから、衣装の匂いまで届くのです。これには感激しました。

パンフレット表紙

このあとホテルに戻って夕食を済ませ、次は 『坂東玉三郎×澤村藤十郎トークショー』 です。
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